フィクションとノンフィクションのあいだ④
これは私の師匠が書いた文章です。
☆
異世界の住人が自分の前に現れて、
異世界に触れなければ知ることのない知識や真実に触れていく。
考えてみれば、アニメや小説では散々使い古されたような展開だ。
自分に関係のないフィクションであれば、
「オワコンの焼き直しかよw」「ありがちありがちwww」
でも、いざ自分が当事者になってみると、
そういったストーリーにありがちな行動をとるものなんだな…
<…そろそろ話していこうと思うが、準備はいいか?>
悪魔の言葉によって、僕は現実に引き戻された。
いや、これは妄想?それとも現実?
僕は早くも現実と妄想の区別が分からなくなってきていた。
<「上にあるが如く、下にもかくあり。」
この言葉は聞いたことがあるだろう?>
「あぁ、たしか錬金術に関連する言葉だったような…。」
<上とは何を示し、下は何を示しているのだ?>
「上が天上界や高次元で、下が物質世界じゃないの?」
<模範解答、といったところだな。
では、その上と下は今どうなっている?>
「そこが解ったら、人間やってる必要ないよね(苦笑)。
上は正直・・・よく分からない。
精神世界系の本では理想的な世界が実現してるってあったけど、
下の物質世界を見ている限り、
それに、あれだけ騒いでいた2012年の冬至に何も起こらなかっ
何を信じていいのか分からなくなったってのが、
<君の言う上が今どうなっているか、知りたいかい?>
「・・・それを伝えたくて、俺の元にきたんじゃないの?」
<状況の呑み込みが早くて嬉しいよ。
今の上の状態というのは・・・>
{逆もまた然りよ!}
待ってました!と言わんばかりに、
言い忘れていたが、男性の悪魔の名前はク-リ、
まぁ、十中八九偽名だろうが…。
{上にあるが如く、下にもかくありの逆は何? }
「・・・下にあるが如く、上にもかくあり?」
{そう、あんたが下って言ったものの状態が、
上でも同じようになってるってわけよ。}
<少し頭を働かせれば簡単に分かることなのだが…
この事実を受けとめる者が人間にはほとんどいないようだ。>
…たしかに、言われてみれば辻褄が合う話だ。
上にあるが如く下にあり、下にあるが如く上にも。。。
じゃあ、精神世界系でよく登場する光の存在って何なんだ??
「上の天上界や高次元は光の存在の領域じゃないのか?」
{あんたバカぁ!?
そうだとしたら、なんで物質世界は上みたいになってないのよ?
辻褄が合わないじゃない?}
再び、セオがアスカの口調で僕に言葉をあびせてきた。
「それはこれから・・・」
{あーイライラするわね!!!
なんで人間ってこうバカなのかしら。}
<セオ、無理もない話だよ。
彼等は何も真実を知らされることなく、
真実めいた虚構の情報しか受け取れなかったのだから。>
真実めいた虚構の情報・・・。
ク―リが言ったこの言葉が、僕の脳裏を駆け巡った。
それは僕が感じてきた違和感を、言語化したような言葉だった。
<光の存在というものの正体・・・知りたいかね?>
ク―リの言葉は、僕の思考を見透かしたような、
おそらくそこに、僕が感じてきた違和感の正体があるに違いない。
「・・・教えてくれク―リ。真実を。」
こうして僕は、最も耳を塞ぎたくなる真実を聴くことになる。